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【ハルノートを書いた男/須藤眞志/文春新書】

ロシア人の偽証にだまされた学者

 

ハルノートを書いた男124〜165pには、1997年9月、NHK取材班が行ったビタリー・グリゴリエッチ・パブロフ(元NKVD内務人民委員部対米諜報部副部長)に対する質疑応答の模様が記述されている。パブロフは、1941年5月にハリーデクスターホワイトに接触、「日本のソ連侵攻を困難にすること」を依頼したこと(ソ連側コードネーム雪作戦)を認めながら、ホワイトはスパイではないといい、さらにソ連の謀略活動について次にように証言している。

 

長井(ディレクター)「おききしたいのは、つまり、あなたの計画の中には、アメリカと日本を対決させるというような考えは全くなかったのですか。」

パブロフ「まったくそんな考えはありません。でもいずれにせよ、アメリカと日本は、その極めて重要かつ死活的な利害から衝突するだろうとは確信していました。日本がもしその方向で何らかの行動を計画しているのなら、ことさら自分の状態を複雑にする必要はないと、そのことを警告するのがわれわれにとって重要だったわけです。それがすべてです。この件でわれわれが、日米戦争に関心を抱いていたと考えるのは間違っています。日米戦争はその他の歴史的な全く違った要因で起きたのです。」

 

 所長は、パブロフ証言は偽証である、と即断した。なぜならパブロフ証言は、尾崎秀実らゾルゲ機関の謀略活動とくに之を粉飾無く示唆した尾崎の最後の論文「大戦を最後まで戦うために」(改造昭和16年11月号)と全く矛盾するからである。

果たしてパブロフ証言は虚偽であった…。

 

 須藤眞志教授は、「近衛のブレーン集団として作られた昭和研究会も日本の国家的膨張を理論づけようとしていた」と述べながら(198p)、昭和研究会の中核であった尾崎等コミンテルン(ソ連共産党国際部)系統の共産主義者の謀略活動に気付かず、パブロフの見え透いた虚偽証言を疑わず、「結論的に言えば、ソ連の工作によって日米戦争が起こされたとするソ連陰謀説は、パブロフの証言を見るかぎり、まったく当たっていない。」と述べ(165p)、「日米開戦の真因は日米間のパーセプションギャップ(認識の差違)」というわかるようでわからない陳腐な史観を開陳している(194〜213p)。

 また須藤教授は、「日清、日露戦争及び満洲事変、日華事変と続く大陸での紛争は、すべて陸軍のなかに強固に根付いていた北進論の結果であった」という史観を述べている。

多田駿、石原莞爾、小畑敏四郎、真崎甚三郎を始め陸軍の北進(対ソ戦)論者は支那事変に猛反対し、尾崎秀実や佐藤賢了を始めとする南進論者が支那事変を拡大長期化させたというのに…。

須藤教授はよほど不勉強なようだが、もしかするとNHKと共に、ソ連を擁護する為、故意にパブロフの虚偽証言を紹介し、ソ連陰謀史観を打ち消そうとしているのかもしれない。

NHKは、ゾルゲを「反戦平和主義者」と礼賛する番組を平然と報道し、視聴者の大ひんしゅくを買った、日本反日左翼協会だから…。

 

 

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